相続で株を受け取ったら
普段、株式投資をやらない方であっても相続で受け取った株式を売ったというケースがあります。
年末調整で所得税の納税が完了している給与所得者であっても、給与所得等以外の所得が、「一般口座」や「源泉徴収なしの特定口座」の譲渡益を含めて20万円以上の場合等は確定申告が必要です。
株式を売却した場合の所得金額は、次の計算式で計算します。
譲渡価額-(取得費+委託手数料等)
一般的に、昔に取得した株式であるほど、実際の株式の取得費がわからないケースは多くなります。取得費は、株式等を取得したときに支払った払込代金や購入代金となりますが、株式の購入手数料のほか、購入時の名義書換料などその株式等を取得するために要した費用も含む点に注意が必要です。
譲渡した株式等が相続したものであるとか、購入した時期がかなり昔になるといった理由で、株式の取得費がわからない場合には、条件によっては、同一銘柄の株式等ごとに、取得費の額を売却代金の5%相当額とすることも認められます。
ある銘柄の株式等を1,000万円で譲渡した場合に取得費が不明なときは、売却代金の5%相当額である50万円を取得費とすることができます。
これは、実際の取得費が売却代金の5%相当額を下回る場合にも、同様に認められます。
また、実際の取得費を確認する下記の合理的な方法もあります。
証券会社などの金融商品取引業者等から送られてくる取引報告書等
取引した金融商品取引業者等の顧客勘定元帳(10年間保存義務あり)
記帳や預金通帳などでの本人の手控え
上記がなければ、名義書換日を調べて取得時期を把握し、その時期の相場を基に取得価額を算定するなどがあります。
なお、相続(限定承認に係るものを除く)、遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)又は贈与により取得した場合は、被相続人、遺贈者又は贈与者の取得費を引き継ぎます。
取得費加算の特例とは
相続で取得した上場株式を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合は、相続税額の一部を譲渡資産の取得費に加算することができる「取得費加算の特例」があります。
意外とご存知でない方も多いのでご参考ください。