私道の相続
相続した土地に関するお話です。私道のある土地を相続した方は参照ください。
とあるA氏、は一人暮らしをしていた被相続人(母)の土地・建物を相続しました。建物は木造で築50年ほど、公道から奥まったところに建築されており、公道から家の玄関まで通路としている私道を、近隣の地権者と一緒に利用していました。
そこで、こちらの土地の相続後、不動産会社に土地売却に関する相談を行ったところ、思いのほか、現状の土地のままでは売却できないことがわかりました。
接道義務を満たす必要性
建物の敷地は、原則として、建築基準法上の道路に2m以上接道しなければ、新築や増築できず、そのままでは売却できる土地にはなりません。
今回のA氏のケースでは、敷地は私道部分が路地状敷地で、出口側で公道と2mも接していない状態だったとのことです。
敷地が接道義務を満たしているかは、まず法務局で公図、地積測量図を見て、土地の形状、隣地や道路との境界を確認します。
次に、敷地が接する道路について、市区町村の役所で指定道路図を閲覧し、建物を建築できる敷地に該当するか、該当させるための条件を担当者に照会します。
私道が位置指定道路や、セットバックを要する2項道路に該当しているか、私道部分が路地状敷地である場合は、出口側で接する道路の指定状況を確認します。
A氏のケースの場合は、隣接する土地を地権者と一緒に売却して2mを確保することとなったようです。
越境により建築できないケース
土地を売却する前に、隣地との境界について確定測量を行います。
隣地からの越境は、隣地地権者の立ち会いのもと、境界確認と合わせて越境の状況を双方で確認します。
A氏のケースでは、確定測量の結果、隣地建物の外壁やドア、換気用フードなどが私道部分に越境しており、まだ2mの接道義務を満たせていないことがわかりました。
地権者間で権利調整を行うことも
越境が確認された場合、建物が建築できる土地になるよう、隣地地権者と話し合い越境解消について合意が必要です。
A氏のケースでは、買主の不動産会社が役所に出向き、建築できるための条件を相談し、役所が示した要件に合わせて隣地地権者と越境解消の工事手順と負担について話し合い、土地を売却できるようになったようです。
不動産の売買については、建築基準法をはじめ、様々な規制んい注意しておく必要があります。