相続承継と消費税の留意点

相続による事業の承継

相続による事業を承継することがあります。このケースでは、事業者でなかった相続人が相続により事業者になるパターンがありますが、その他、もちろん「相続人」、「被相続人」ともに、事業者であるパターンもあります。

今回は双方ともに事業者であるパターンを説明していきたいと思います。

課税・免税の判定基準

相続承継後翌年以後の課税・免税事業者の判定は、承継前の相続人と被相続人の事業の各基準期間の課税売上を全部合計して、合計額が1千万円を超えるかどうかで判定します。

被相続人の事業を2以上の相続人が分割承継、共同相続した場合について、相続開始年の翌年以後の課税・免税事業者の判定に取り込むのは、各相続人の承継割合に応じた課税売上となります。

相続開始年の注意点

相続開始年に限っては、取り扱いが少し異なります。下記の4パターンが考えらえます。

①課税事業同士の相続承継

②相続人の課税事業への被相続人の免税事業の相続承継

③相続人の免税事業への被相続人の課税事業の相続承継

④免税事業同士の相続承継

相続人の課税・免税事業者判定は、①②のケースは年間を通じた課税事業者、③は相続日の翌日からその年の年末までの期間の課税事業者、④は免税事業者です。

 

相続開始年に遺産分割確定

年末までに遺産分割が済んでいる場合でも、未分割の場合と同じく、基準期間における被相続人の課税売上高を各相続人の法定相続分で按分した金額により相続人の納税義務を判定してよい、との「文書回答事例」が公開されています。

 

特定遺贈又は死因贈与の場合

相続の際、被相続人の消費税納税義務を考慮するのは、「相続(含包括遺贈)」による承継の場合のみです。

たとえ相続承継であったとしても、特定遺贈・死因贈与による承継の場合には、上記の納税義務可否判定規定の適用はありません。

これは、通達で示されている考え方で、この場合には、特定財産受遺者又は死因贈与契約受贈者の、自分の事業のみの基準期間課税売上高のみによって判定します。

消費税法には、「相続」には包括遺贈を含むと規定されていて、そのことにより、特定遺贈・死因贈与は、包括的承継としての相続承継から除外されていると反対解釈されるため、通達でそれを示しているわけです。

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